私たちが生きていくためには、「食べる」という行為が不可欠です。そして、国際社会の情勢にかかわらず、安定して「食べる」ことが保障されるためには食糧自給率を高めることが必要になってきます。
また、このように私たちが生きていくために必要な「食べる」という行為は、単にただ生きていくためだけに食べるのではなく、「健康に」生きていくために食べる、人生を楽しく生きていくために「美味しく」食べるという側面もあります。
このようにとても重要な日本の農業ですが、令和2年度農業白書によれば、令和2年の農業経営体数は107万6000経営体であり、5年前平成27年度の137万7000経営体と比べて21.9%も減少しています。また、令和2年の農業従事者の平均年齢は67.8歳であり、10年前の平成22年度の66.2歳から1.5歳ほど高齢化しています。
このように、高齢化傾向、減少傾向が進む日本の農業が成長産業として発展していくには、効率的かつ安定的な農業経営を⽬指す経営体等の担い⼿を確保していくことが重要となってきます。
そして、農業経営体は全体では減少しているものの、農業経営体の中の法人の数は、令和2年度は3万1000経営体であり、5年前平成27年度の2万7000経営体と比べて13.3%増加しています。
このように日本の農業は、これまでの家族経営型の農業が減少する一方で農業経営を行っている法人が増えています。
また、これからの農業について、農林水産省は6次産業化を推奨しています。
農業の6次産業化とは、1次産業としての農業と、2次産業としての製造業、3次産業としての小売業等の事業との総合的かつ一体的な推進を図り、農村の豊かな地域資源を活用した新たな付加価値を生み出す取組です。農産物を生産して青果市場に出荷する、という従来の第1次産業として農業と比べ、加工、販売までを見越したトータルでの営業戦略を立てることが可能となるため収益のアップが期待でき、雇用の創出、地域の活性化にもつながります。
日本の食糧自給率を上げるとともに、「健康にいい」農産物や「美味しい」農産物が安定して生産されるには、農業の6次産業化も含め、農業が成長産業として発展する必要があり、そのためには農業がビジネスとして成り立たなければいけません。
これまでの政府の規制で保護されていた農業は、現在では海外の安価な農産物との競争にさらされるようになりました。日本の農業が海外の農産物との競争に打ち勝ち成長していくには、ビジネスとしての視点が欠かせません。そして、農業をビジネスとしての視点でみると様々な法律とかかわっていることがわかります。
農業に参入するための農地の取得には、民法に加えて農地法がかかわってきます。
農業経営を法人として行うためには、会社法がかかわってきます。
効率的に農産物を生産するには従業員を雇用すること有効ですが、従業員の雇用については、労働基準法や労働契約法がかかわってきます。
農産物を飲食店や加工業者に直接販売する際には、民法や商法がかかわってきます。インターネットを使って農産物を販売するには消費者契約法もかかわってきます。
農産物をブランド化する際には、商標法や種苗法もかかわってきます。
このように、様々な法律がかかわってくる農業においては法的なトラブルが発生するリスクは決して小さくはありません。
農業がビジネスとして成り立つためには、法的なトラブルの発生を予防するとともに、トラブルが発生した場合にすみやかに解決し最小限の被害で食い止めることが必要になってきます。そして、トラブルの発生、解決には専門家である弁護士のサポートが不可欠です。